令和6年度
活動報告書

始めに・私たちが目指す社会とは?


「まほろば」とは古の言葉で「まほろ」は真に美しい「ば」は文字通り「場所」のこと、つまり「美しい場所」という意味です。この言葉は本日の原画展にご協力頂いた当倶楽部・名誉顧問の小林新治先生よりご示唆頂きました。

それぞれの地域には、おらが地域こそが「まほろば」であり素晴らしい所だ、という郷土愛・誇りがあります。私たちに置き換えれば、越後の「まほろば」は、くびき野、その又、中心地が春日、つまり、春日山という訳です。 

くびき野に住む私たちが、ひとつにまとまれる、心の拠り所、あるいは、象徴的な人物とは一体、誰でしょうか?

倶楽部のモット―ですが、私たちは、誰もが輝ける・真の「まほろば」すなわち(住みやすく・暮らしやすい社会)の実現を目指して活動しております。
まほろばの郷の夜明けをイメージ

☑ 紺地に日の丸は天賜の御旗

☑ 紺色は越後の特産品の青苧の染め色

☑ 山はまほろばのイニシャルの

☑ 蛇行する線はまほろばの大地を潤す河の流れ

【1】魅力的な観光地へ整備

(整備部会)

そもそも、古道「師弟の路」とは何?

謙信公が21歳から40歳までの20年間教えを受けた禅学の師の林泉寺第七世住職「益翁宗謙禅師」との交流の路、古道「師弟の路」の周辺を昨年に引き続き整備しました。

昨年ご講演を頂いた植木宏先生のご見解にもあるように、ここは春日山城本丸から最も近い重要な砦跡のひとつです。私たちの「本丸周辺だけが春日山城」という従来の思い込みを覆したい」と思います。

新たなるビューポイントの出現!

オールシーズン本丸を望めるように一昨年木々を伐採したビューポイントに休憩用のベンチを設置しました。 

新たなるビューポイントの出現!

「師弟の路」からの魅力的な眺望を確保する為に間伐と下草刈りを行いました。結果、火打山、焼山、妙高山、八海山などのビューポイントが次々と現れて古道散策の魅力が増しました。

新たなる紅葉の名所に!

伐採などの整備が進むことにより陽がよく当たるようになり紅葉がより一層鮮やかになりました。古道 「師弟の路」は、必ずや、上越の紅葉の名所のひとつとなることでしょう。

春日山城整備体験ツアー(整備体験)

間伐材の片付け作業

本丸を眺めながら

11月3日には「春日山城整備体験ツアー」を行い全国から15人のご参加を頂きました。

妙照寺砦跡での整備体験では、参加者から「他の山城でのボランティア活動では、ノコギリなどの刃物は中々持たせて貰えないが、持たせて貰えて嬉しかった」との感想を頂いたことが印象的でした。

春日山城整備体験ツアー(食事交流会・古道散策ツアー)

食事交流会

古道散策ツアー

昼食交流会では春日山城産の「謙信まほろば蕎麦」や、妙高笹ヶ峰産の天然イワナの塩焼きを始め、地場産の食材による天ぷらなどを味わって頂き、交流の輪が広がりました。

そのあと古道「師弟の路」の散策ツアーを行いました。今後も毎年継続して参ります。

【2】そば畑オーナー制度

(観光部会)

運用に向けての試験栽培

令和8年度のそば畑オーナー制度の本格運用に向けて、大手道入口の借地40アールで試験栽培に取り組みました。地球温暖化の影響もあり、秋そば一本に絞り込みました。来年度は畑地化奨励金を受けて、水田から畑地に本格的な構造改善を行います。

そば畑お試しオーナー事業、そして、生誕500年祭に向けての市民の機運醸成の為の講演会事業、共に上越市の「地域独自の予算」制度を活用させて頂いております。

古道「師弟の路」散策会

散策会

春日山城整備体験ツアー

ガイド部会を中心に、古道「師弟の路」に案内誘導解説板を17か所設置しました。又、危険個所に階段や手すりを設置しました。

古道散策会は春秋の2回と、上教大付属小学校、春日山城整備体験ツアーの合計4回を実施し、延べ60人の参加を頂きました。まずは地元の人にこそ、隠れた良さを知って頂くことが肝要かと思います。皆様、暖かくなりましたら、是非とも、春の山野草、秋の紅葉を愛でにお出かけください。倶楽部の4人のベテランガイドがお待ちしております。

地域活性化への協力・交通量調査

整備体験ツアーと同時進行した、謙信きき酒マラソンでは520食のきのこ汁の振る舞いにより地域活性化に協力しました。
年6回のデータ収集は行政への提案の重要な根拠に
年6回の春日山きのこ園前の市道及び総構えの道の交通量調査を行いました。今後の総構えや市道の整備についての行政への要望の為の貴重なデータとなり得ます。

【3】新たなる特産品の開発

(特産品部会)

青苧の織機の譲り受け

青苧の春日山城内での再興を目指しての試験栽培については来年度からは大手道入口を適地と定めます。

「謙信まほろば」の風景・絵ハガキ&一筆箋&栞

「謙信まほろば絵はがき」については東京在住の建築家、秋元様より2日間にわたり取材をして頂きました。地元画家とのコラボによる、「謙信まほろばの風景原画展」は、今後は市内各所での巡回展を予定しております。

謙信まほろばキノコが春日山の特産品に

「謙信まほろばキノコ」は昨年秋から収穫が始まりました。春日山城特産の返礼品に、青苧の紙にプリントされた「謙信まほろば」の一筆箋の礼状が添えられ届く、それを見たそば畑オーナー様や苗木オーナー様の微笑む顔が目に浮かんできます。

【4】地域との連携

(教育・福祉・文化部会)

春日山正養寺から米沢照陽寺へ

春日山正養寺に残る五輪の塔
(お参りする故・林泉寺東堂様) 

謙信公の養父・上杉憲政公の墓と
上杉景虎公の息子・道満丸の卒塔婆
(米沢照陽寺)

7月16日には倶楽部の令和8年度以降の活動予定地にある春日山正養寺の行く末である米沢照陽寺を倶楽部の14人で訪問しました。謙信公の養父、上杉憲政公、上杉三郎景虎公の息子道満丸が当初葬られた地が春日山正養寺です。このことは三郎景虎公の終焉の地、妙高市の「鮫が尾城」ともリンクして参ります。

遅くとも生誕500年祭までには今は無残にも崩れ落ちた、五輪の塔、5基が残る境内を整備して、現在の土地所有者の照行寺様、米沢照陽寺様、林泉寺様から、現地で法要を営んで頂こうと願っております。

ちなみに来年度の講演会は米沢照陽寺の伊藤良久ご住職様から「春日山正養寺から米沢照陽寺へ」との演題でのご講演を予定しておりますのでご期待ください。

上教大付属小「総合学習」の受け入れ

9月23日には上教大付属小学校6年生の創造活動の受け入れをしました。
散策会と食事交流会、整備体験の3部構成で34名の児童の皆さんのご参加を頂きました。

整備体験では古道にウッドチップを撒いて頂き歩きやすくなり好評でした。
私見ですが、教育の原点はどんな局面であってもとにもかくにも生き抜く力を育むこと、何故なら、生きていなければ人を守ることは到底叶いません。二つ目は、好きなことやりたいことを見つける為のメニューを提供することかと思います。その意味では、幼少期に於ける「自然との触れ合い」は非常に大切なことと思います。

地域との連携・協働(就労支援)

新緑の中での片付け作業

紅葉の中での駒打ち作業

障害者支援施設の入所者様への就労支援として、下草刈りの補助作業と駒打ち作業のお手伝いをして頂きました。自然の中での共働作業は心を開放するようで好評でした。

謙信公生誕495年記念講演会

1月21日に開催された謙信公生誕495年記念講演会は本年で3回目、初めて一般市民を招いての開催となりました。約150名のご参加を頂き大盛況でした。

「春日山城を活用した上越のまちづくり」との演題でご講演を頂いた観光ライターのいなもとかおり様のお話は学者とは一線を画した訪れる側からの目線で語られ、「目から鱗」今後の倶楽部の活動に弾みがつくことに繋がることを予感するものでした。

他団体との連携

関山神社様 「火祭り」

一義会様の武諦式初参加への仲介

関山神社の「火祭り」に一義会様の「武諦式」が初参加することへの仲介をしました。

 吉川区 大乗寺歴史保存会様

上杉神社大乗寺宮司様をお迎えして

 吉川小中学生への講和 杜氏の郷での「武諦式」及びゆかりの地ツアーのお手伝い

吉川区大乗寺歴史保存会様の事業、上杉神社大乗寺宮司様をお迎えしての、吉川小中学生への講和、杜氏の郷での「武諦式」及び「ゆかりの地ツアー」のお手伝いをしました。

提言① 謙信公時代の里山に復元を!

上:ヤマザクラ 下:ヤマモミジ

今後の活動としては、令和9年度より「謙信公の里山復元プロジェクト」を計画しています。

旧春日山旅館の跡地東側の孫市山砦跡の荒れ地に植林して謙信公時代の里山の復元を目指します。春日山城に関わる他の団体や学校関係者、全国の謙信公ファン、行政の皆様などに、お声がけして「苗木オーナー制度」の運用を目指します。既に苗木の調達や土づくりに取り組み中です。

謙信公生誕520年祭の2050年頃には、春はヤマザクラの花、秋はヤマモミジの紅葉の名所となり大勢の市民や観光客で賑わっていることでしょう! 皆様!是非とも長生きして見届けてください!

提言② 春日山城の眺めは貴重な観光資源であり市民の大切な心の拠り所

謙信公騎馬像と春日山城をバックに

大正時代の春日山城を目指した杉の伐採事業のお陰で、えちごトキめき鉄道の車窓や上越インターからの道すがらなどから春日山城がクッキリと見えるようになりました。

埋蔵文化財センター玄関前の謙信公騎馬像越しの本丸の眺めは人気の記念撮影のポイントとなっていますが、手前の杉の木が障害となっています。建設が予定されている観光拠点施設からも本丸が眺められるように、視界を遮る木々の伐採を計画的に進めることを提案します。

伐採された杉が観光拠点施設や総構えの木道に活用される。地産地消・カーボンニュートラルにも適う取り組みで素敵なストーリーでは無いでしょうか?春日山城の眺めは貴重な観光資源であるとともに、市民の大切な心の拠り所です。

提言まずは長期ビジョンの策定を! 

最後に、どうしてもお伝えしなければならないことがあります。このことは亡き林泉寺の前住職笹川様のご遺言でもあります。

春日山城跡が90年前に国史跡に指定されたお陰で曲がりなりにも日本の原風景が残っていることは大切な財産ですが、近年の春日神社の表参道付近の景観の激変ぶりに驚いているのは私だけでは無いと思います。

過疎化対策という地域のやむにやまれぬ事情があったようですが、皆さん、本当にこれで良いのでしょうか?変わるべきものと変えてはならないものがあるはずです。このままでは道路の南側の水田も遅かれ早かれ宅地化の恐れがあり、そうなってからでは遅いのではないでしょうか?

まずは春日山をどう守っていくかの「長期ビジョンの策定」が必要不可欠と思います。長期ビジョンに則った計画的な公有地化と景観法に基づき市は県と協議して景観計画を策定し景観地区制度の創設を図ることを倶楽部の立場として望みます。

日頃からの皆様のご支援に感謝しますと共に今後ともより一層のご支援を賜りますよう、お願いを申し上げまして活動報告とさせて頂きます。

誰もが輝ける「真のまほろば」を目指して、さあ!みんなで手を携え合って一歩前に踏み出しましょう!